shidara press

Some postcards for a post-disciplinary approach —新しい「知と方法」へ—

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世界認識のS、M、L、XL

by shidarapress

 1年単位では対前年度比の業績しか見えないが、10年単位で見れば、新興企業の盛衰が見え、30年で見れば確立された大会社の盛衰が見てくる。50年で1つの産業の凋落が見え、100年で1つの社会の変動が見えてくる。1000年単位で見るなら、メディアの転換が見えてくる。

 近年、(名前が気に入らないが)「ビッグ・ヒストリー」という分野横断的な知的探索が試みられるようになった。宇宙史、地球史、生命史、人類史を、包括力ゆたかに相互関係的にとらえるものだ。個別科学ごとの成果をこえた、超領域的かつ超長期のパースペクティブをもつことで、現代のもつ意味が見えてくる。時代の転換期を認識するための、S、M、Lではない、スケールの大きい、XLな認識態度だ。

設樂剛事務所

「ソフト・パワー」を超えて

by shidarapress

ジョセフ・ナイが発案した「ソフト・パワー論」は、ある国や都市が、他の国や世界に対して影響力を発揮できるか、という戦略論にちがいなく、自国の方針をいかに相手に理解させ、従わせることができるか、という議論で、いわば世界戦略的なパワー拡張論です。ハード・パワーではどこかでどうしても強制的にならざるを得ないとき、ソフト・パワーによって自国の魅力を発揮して、相手をその気にさせようというものなのです。

そうではなく、それぞれの国や地域がお互いに文化の力を出し合って、お互いに魅力を高めながら、グローバリゼーションのなかで人間の交流、文化の交流、あるいは仕事の面での交流をうまくはたしていくことが考えられないでしょうか。それがもっと大切なことではないでしょうか。

なお、文化の力とは、(伊勢神宮、京都や奈良の神社・仏閣など)ある国や社会の伝統的な文化、あるいは固有の文化と思われているものを積極的に活用して広めていこうとすることだけを意味するのではありません。現代の日本社会が、日本の国内においても、あるいは世界の他の国々から見ても魅力をもつものであるかどうか、そこが重要です。

具体的には、現代日本の政治が開かれたものであるかどうか。人権や民主化を重んじる制度をもつ社会であるか。外国人が入ってきても、仕事があれば定着できて、幸福に過ごせるような社会であるか。また組織や制度が開かれているか。外国人でも、日本に行けば教育や社会制度の恩恵を受けることができる、という期待を持てるかどうか。こうしたことが、文化力評価のおおきなポイントになります。

日本は、日本語の国と社会とはいっても、英語を用いた生活もまた、あるていど許容される国と社会であるならば、日本の文化の力は大変強いと評価され、日本の魅力は増すことになると思います。もちろん、日本語をやめて英語にしろといった話では、まったくありません。コミュニケーションが外国人にとって容易であることは、現代国家にとって、おおきな魅力になることを指摘したいのです。

青木保『多文化世界』岩波書店

◉環連リンク:
海部陽介『人類がたどってきた道 :〝文化の多様性〟の起源を探る』

問7

by shidarapress

問7 この文章の表現上の特色としてあてはまるものを、次の(ア)~(カ)から2つ選んで、記号で答えなさい。

(ア)一文が長くて、すこし冗漫な感じがする。
(イ)歯切れのよい文章で、リズム感もある。
(ウ)擬声音や擬態語を多く使用して、その効果をあげている。
(エ)もってまわったような言い方の多い文章である。
(オ)主人公の目からみた形で文章は進められている。
(カ)作者は、主人公を自分から一歩離して第3者的に書いている。

設樂剛事務所

世界モデルとしての物語

by shidarapress

人類学者の山口昌男は、こう述べている。「人は、それぞれの課題と関心に合うように世界を切り取り、世界についてのモデルを、たえずつくり変えていかなければならない。世界はもはや、そこにあり、それを客観的に記述していけば再現できる、というものではない。われわれがたえず、解読のためのモデルをつくり変えていかなければ、世界はたちまち眼前から姿を消してしまう」。ここでいう世界を切り取り、世界についてのモデルとなるのが「物語」というメディアである。物語とは世界モデルなのである。

設樂剛事務所

人類史のなかのイノベーション

by shidarapress

私たちが生きる歴史的現在は、じつに画期的なイノベーションの数々のうえに成り立っている。そのごく一部をランダムに列挙すれば、二足歩行のはじまり(356万年前)、埋葬観念の出現(30万年前)、芸術表現の萌芽(35,000年前)、農耕の開始(BC9000頃)、紙の発明(BC3,000頃)、アルファベットの出現(BC1700年頃)、ヴェーダの編纂(BC1400頃)、最初のオリンピック開催(BC776)、貨幣の登場(BC650年頃)、ゾロアスター教の誕生(BC600年頃)、原子論の提唱(BC430年頃)、アレクサンドリア図書館の創設(BC323年頃)、火薬の誕生(830年頃)などなど、じつに数限りない。しかし何と言っても地球史上最大のイノベーションは生命の誕生(38億年前)で、これがやがて心の発生にもつながっていく。「生命と精神」の出現が、いまもわれわれを驚かせ、悩ませ、次なるイノベーションに駆り立ててもいる。

設樂剛事務所

精神のヨーロッパ

by shidarapress

1753年、メルヒオール・グリムが『文芸通信』を刊行する。その情報内容、そしてヨーロッパの知性史における重要性から「歴史的にもっとも重要な情報誌」(ハイデン=リンシュ)でもあった。1773年まで続くことになるこの情報誌には、パリの文化的出来事や、社交界に関する情報が掲載され、ヨーロッパ中で熱心に読まれた。とりわけパリと啓蒙主義思想に傾倒していた元首たち、エカテリーナ2世、フリードリヒ大王、英国王ジョージ、ポーランドのスタニスワフ2世らは、「精神のヨーロッパ」をおおいに盛り上げたこの情報誌の、じつに熱心な読者たちであった。

設樂剛事務所

思考を展開するための往復書簡

by shidarapress

サロンの女性たちは、サロンのかたわら、はばひろい情報交換の方法として手紙のやりとりをしていた。たとえばドゥファン夫人。彼女はヴォルテールと20年にわたって手紙の交換を行っている。ヴォルテールのたくましく発達した探究心。一方、ドゥファン夫人のシャープな社会批判と人間批評。両者は共感や友情からではなく、純粋な知的喜びとして手紙を交換し合った。書簡の往復を通じて、人間や人間の未来について、自分の考えを展開せずにはいられなかったのである。

設樂剛事務所

文字になった会話

by shidarapress

サロン文化と並行して、往復書簡の文化が育まれた。「文字になった会話」が重視されるようになったのである。サロン史とは、「書きながら話す」、そして「話しながら書く」歴史であったから、ここには、さまざまな書簡集、日記、伝記、信条書が出現した。いずれの試みも、日々、自らが観察したことや、自らが経験したことを書きとどめようとするものだった。

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物語革命

by shidarapress

「 私たちがいま必要としているのは、おそらく新しい方向からやってきた言葉であり、それらのことばで語られるまったく新しい物語です 」村上春樹

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現代ビジネス社会の特徴

by shidarapress

近代社会、とりわけ近代産業社会の特色は、与える側(生産者)と、受ける側(消費者)が、はっきりと別れていたことでした。売り手と買い手、自治体と市民、教師と学生、芸術家と鑑賞者、医師と患者など、というようにです。

これに対して、現代社会の特徴は、こうした素朴な2分化が終わり、生産・供給サイドからの一方的な説得、情報発信、商品生産と販売促進(売り込み)が有効性を失いつつあることです。多くの分野で、受け手と与え手が目線をあわせ、相互に関わりあい、対話的であろうとしない限り、満足や共感や納得、あるいは、より望ましい結果や効果、そして新しいものは生まれにくくなってきました。

設樂剛事務所