異質で創造的であるためのレッスン

投稿者: shidarapress

創造的な企業家たちがイノベーション(新結合)を実現することでビジネスは発展する。そんな見方を打ち出したのが、皆さんご存じのジョセフ・シュンペーターである。これは『経済発展の理論』の中で語られるが、本書は、オーストリア=ハンガリー帝国で最東端の辺境都市チェルニウツィ(Chernivtsi)で書き上げられた。

heterodoxは《hetero + dóxa (← dokeín : to think )》であり、確立された学説や方法とは異なるものの見方や考え方を指す。だから次のような意味をもつ: not agreeing with established beliefs or standards.

経済学の見方には、古典派以前、古典派、新古典派といった分類の他に、そのいずれにも属さないオルタナティブ学派があり、さらにその中にheterodox traditionsというカテゴリーがある(cruel.org/econthought/thought.html)。そこにはソースティン・ヴェブレン(アメリカ制度学派)、ジョセフ・シュンペーター(イノベーション)、ロベール・ボワイエ(フランス・レギュラシオン学派)、イマニュエル・ウォーラースティン(世界システム学派)などが含まれる。一人ひとり見ていきたいがここではシュンペーターだけ。1909年、彼は、今はウクライナに属するチェルニウツィ(Chernivtsi)にいた。ここは当時オーストリア=ハンガリー帝国領の最も東の端にある辺境都市で、ユダヤ文化の中心地でもあった。チェルニウツィ大学に所属していた彼は、この地で一冊の本を書き上げようとしていた。それが『経済発展の理論』だ。この中で彼は企業家精神の理論を語り、恐れ知らずで創造的な企業家たちが新結合(new combination)を実現することでビジネスは発展する、と説くことになる。そして、この「新結合」の語は、1939年の『ビジネス・サイクル』の中で「イノベーション」と言い換えられ、1942年の『資本主義・社会主義・民主主義』の中で「創造的破壊」と呼ばれることになる。それはイノベーション(新結合)が旧結合の世界を淘汰していくプロセスを表現したものであった。

note : ソースティン・ヴェブレン(Thorstein Bunde Veblen, 1857-1929)/ジョセフ・シュンペーター(Joseph Alois Schumpeter, 1883-1950)/ロベール・ボワイエ(Robert Boyer, 1943- )/イマニュエル・ウォーラースティン(Immanuel Wallerstein, 1930- )/オーストリア=ハンガリー帝国(Austria-Hungary, 1867-1918)/『経済発展の理論』(The Theory of Economic Development: An inquiry into profits, capital, credit, interest and the business cycle.  Translated from the original German, Theorie der wirtschaftlichen Entwicklung, 1911) /『ビジネス・サイクル』(Business Cycles) /『資本主義・社会主義・民主主義』( Capitalism, Socialism and Democracy )

⊆ 設樂剛事務所

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