知の岬へ
by shidarapress
横浜はまさしく開けたばかりのところ。そこで私は横浜に見物に行った。行ってみたところ、ちっとも言葉が通じない。こっちの言うこともわからなければ、向こうの言うこともわからない。店の看板も読めなければ、ビンの貼り紙も分からない。なにを見ても私の知っている文字というものがない。英語だかフランス語だか、いっこうに分からないのだ。99
横浜はまさしく開けたばかりのところ。そこで私は横浜に見物に行った。行ってみたところ、ちっとも言葉が通じない。こっちの言うこともわからなければ、向こうの言うこともわからない。店の看板も読めなければ、ビンの貼り紙も分からない。なにを見ても私の知っている文字というものがない。英語だかフランス語だか、いっこうに分からないのだ。99
これまでの数年間、死にものぐるいになってオランダ語の本を読むために勉強してきた。ところがその勉強したことが、いまは何にもならない。店の看板をみても読むことができない。はあー、じつにつまらないことをした、と心底落胆してしまった。99
洋学者として英語を知らなければ、とうてい何事にも精通することはできない。これからは英語を読むよりしょうがない、そう思い、横浜から帰った翌日、一度は落胆したが同時にまた心を新たにし、それからは一切英語と覚悟を決めた。100