shidara press

Some postcards for a post-disciplinary approach —新しい「知と方法」へ—

タグ: マルチチュード

マルチチュード(5)

by shidarapress

「1なるもの」は、否定の原理です。あらゆる特異性、あらゆる複数性、あらゆる多様性の否定です。「1なるもの」が諸概念を支配しているかぎり、その支配の形態がどんなものであれ、「1なるもの」は差異を奪い去り、特異性を抹殺するのです。多様性の反対は、「1なるもの」です。それは疎外の原理であり、排除の原理です。マルチチュードが到達しうるのは、一方では「無数の内的差異」を認識することであり、他方ではそのなかに「共同的なもの」を認識することです。A.ネグリ207-8.

マルチチュード(4)

by shidarapress

ともに行動する無数の特異性。これこそが、わたしたちの出発点であるマルチチュードの定義にほかならない。そしてこの定義のカギとなるのは、特異性と共通性のあいだには、概念的にも実際的にも矛盾はないという事実である。180-81

マルチチュード(3)

by shidarapress

マルチチュードとは、それ以上縮減できない多数多様性であり、マルチチュードを構成する特異な社会的差異はつねに表現されなければならず、けっして統一性や同一性、無差異性に平板化することはできない。しかもマルチチュードは、断片的でバラバラに散らばった多数多様性ではないのである。180

マルチチュード(2)

by shidarapress

「マルチチュード」 ( ⅰ )それは特異性の集合です。それは「一なるもの」に還元されない多様性のことです。単一の同一性からなるものには置き換えられない、無数の内的差異、すなわち「多」から構成されています。ですから「一丸となる」組織はマルチチュードとはいえません。( ⅱ )それは同一性からなる「人民(people)」とも、均一性からなる「大衆(mass)」とも、「労働者(laborers)」とも違います。(ⅲ)それは創造的な革新力の総体を言います。労働者の階級闘争はもはや存在しません。マルチチュードが社会変革の主体として登場してきたのです。(ⅳ)それは世界を創りかえようとする多数多様体のことです。世界の見方を変え、新たな価値観を生みだす集合的創造性です。( ⅴ ) それは非物質的労働の担い手です。これは2つの形態に大別できます。ひとつは「知的または言語的な作業」で、アイディア、シンボル、コード、テクスト、イメージなどを生みだします。もうひとつは「情動的作業」と呼ばれ、安心感、幸福感、満足、癒やし、興奮、情熱といった感情・情動を生みだす作業に関わります。( ⅵ )マルチチュードは、かつてのブルジョアジーや、その他の排他的・限定的な階級形成とは対照的に、自律・分散・協調的に、新たな社会を形成する能力をもっています。( ⅶ )無数の内的差異からなるマルチチュードは、相互のコミュニケーションや共同創造(Co-creation)を可能にする《共》(the common:共通の意識・認識空間のようなもの)を創りださなければなりません(だから「インターミディエイター」がいる)。

マルチチュード(1)

by shidarapress

グローバル化の進展にともない登場しつつあるのが、国境を超えたネットワーク状の権力で、これを《帝国》と呼ぼう。一方では、このような新しいタイプの権力(《帝国》)が形成され、他方では、この星のいたるところで生じる21世紀の難問題にたいして対抗運動ないし革新運動が起こっている。それは、それぞれの特異性を保ちながらも、共通のネットワークを創り上げている。《帝国》に対抗する、ネットワーク的に未来を創造するアクターたち、つまり集合的創造性を発揮する多種多様な運動体に着目してみよう。これらの先に、全地球的なデモクラシーを推進する主体、すなわち「マルチチュード」が登場するだろう。