Holon(部分と全体)

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14時34分、小林青年はウィリアム・ブレイクの展示会を観に早稲田大学を訪れた。後日、彼は事務所にやって来て、展覧会の感想を20分ほど話した。
「ブレイクという人も、早稲田という学校もはじめて聞きました」と青年は言った。
「そう。それで、どうだった?」
「あの、一粒の砂に世界を観るって書いてあって」
「ホロンだね」
「そうなんですよ」
青年はホロンのことは知っていた。アーサー・ケストラーという名前も知っていた。そこで、ケストラーの書いた『機械の中の幽霊』について話した。
「部分のなかに全体を観る」
「ええ、部分のなかに全体を観る」
青年は繰り返した。
「ほかは?」
「ブレイクって人は、画家でもあったみたいです」
「観る人だ」
「観る人です。部分のなかに全体を観るもそうですけど」
「ただ観るんじゃなくて、非連続な連続を観ることができちゃう」
「目がいいですよね」
「そう、目がいいんだよ」

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