漱石から宇宙へ

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夏目漱石が、鉱物(mineral)に言及した箇所がある。
「鉱泉と名のつく以上は、いろいろな成分を含んで居るのだらうが」
これは『草枕』の一節である。Spaが舞台の小説だ。

ある日、雑誌を開いたら、スイスのレマン湖畔にある Clinique La Prairie(クリニック・ラ・プレリー)の記事が出ていた。ここは、いわゆるMedical Spa で、短期の滞在で美と健康を回復するという。

もともとベルギー東部の地名(鉱泉保養地)にすぎなかった“Spa”という言葉が、16世紀に、今日のような、より一般的な意味として転用され、いまも生きている。

「温泉」と言われたら気持ちが全く動かなくても、Medical Spaといわれたら、興味をそそられる人もいるかもしれない。需要を創りだし、保養地の活性化に貢献しているという意味で、この言葉はただ生きているどころか、活躍している。

「スパ spa」とは、鉱泉(鉱物成分をふくんだ湧き水)のことだから、とうぜん鉱物mineralと大いに関係がある。そこで、Mineralogy(鉱物学)という言葉に目がいくのだが、これは宇宙および地球科学の一部門であるから、鉱物は、地球外の物質システムともつながりをもつ。漱石から始まって、地球のはるか外側にまで連れ去っていく力を、鉱物という言葉はもっている。


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