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ロラン・バルトは、作家を、小説家と批評家とに分類し、こう言った。批評家というのは、「私」について語ることのできない作家であり、「私」について語るためには小説家にならなければならない。批評家というのは、これから小説を書こうとする人のことであって、それを待つ間に、批評という余計なものを書いてしまう人のことだ、と。

「この分類から、自他の境界が薄い人、自我の薄い人は小説家にあまり向かないことがわかる」と彼は言った。
「かといって、何かを批評したいわけでもない人がいる」
「ああ。だから、こうして、小説家でも批評家でもないが、ものを書く人という領域が現れるわけだ」
「バルトはその人に名前を付けたのかな」
「ああ、彼はそこにちゃんと名前を付けている」
「なんだろう」
「エクリチュールの人」
「なるほど…。つまりはたえず writing している人」
「そう。A man of writing…, それだけ」
「なるほどね」