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『彼自身によるロラン・バルト』では、幼年時代のこと、現在起きたこと、日頃の思考のことなど、これらをコンテクストつきの物語としてではなく、断章形式で語っている。350ほどの断章を200あまりのクラスターに分類し、それぞれにタイトルを付け、アルファベット順に並べた。

ここに、ひとつの例がある:

「 8月6日、田舎で。光り輝く朝。太陽、暑さ、花々、沈黙、光の輝き。何もつきまとってこない。欲望も攻撃も。仕事だけがここにある。私の前に。一種の普遍的な存在のように。すべてが充実している 」

「こんなのでいいのか」と男は言った。

こうした断章を一年のあいだ書き溜めていった。少しずつ、少しずつ。1973年8月6日から始め、1974年9月3日に書き終え、1975年2月に刊行された。