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メルヴィルの『白鯨』に挟まっていた走り書きには、2007.10.17という青いスタンプが押されている。

「  ソクラテスの言葉とされる『食べるために生きるのではなく、生きるために食べるのだ』には、さらに続きがある。『人はただ生きるのではなく、善く生きるものだ』と。では善いとは何か。これほどストレートに問うと、かえって回答が錯綜しそうだとF氏は考えたようだ。

そこで暫くして彼はこう問いかける。「悪」とは何か。それがわかれば、それをひっくり返したところに「善」の輪郭が浮かび上がる。「悪」の有名な定義に、17世紀の哲学者スピノザのものがある。スピノザは言う。『悪とは関係の解体である』。とすれば「善」とは、より自覚的な関係の創造ではないか——。

関係をつくりだすのは、なにも人間相互だけではない。人間と機械、機械と自然、そして自然と人間の間に、それぞれより望ましい結びつきを創り出すこと。生命論マーケティングは、単に「つなぐ」「つながる」のではなく、多方向の「関係づくり」を重視する。また、その過程を通じて起こる、アクターの自己再創造と、アクター・ネットワークのなかの共進化を強調する  」(2007.10.17)