言葉の採集

投稿者: shidarapress

わたしは絶えず、言葉を追い求めている。

そのプロセスはこうだ。毎日わたしは籠をもって森へ行く。木の上、茂みの中、地面、実際には道路上、会話の最中、読書中など・・、まわりのいたるところで言葉がみつかる。それをできるだけたくさん拾い集める。だがそれでも足りない。

わたしは集める。なんだかわからない言葉も、簡単にわかるけれどもっと知りたい言葉も拾い集める。英語に同義語のない美しい単語も集める。いろいろな状況を描写するため、大量の形容詞も集める。まず役にはたたない無数の名詞と副詞も集める。

1日が終わる。籠は重く、あふれるばかりになっている。わたしは満ち足りて豊かになり、生き生きとしていると感じる。けれども、森をでてみると、ほんの一握りの単語しか残っていない。大部分は消えてしまう。空気中に蒸発し、水のように指のあいだからこぼれ落ちてしまう・・・。

がっかりする。だが意欲を失うことはない。それどころか決意が高まるのを感じる。翌日わたしはまた森へ行く。

だが十分ではない。たくさんの単語を手帖に寄せ集めるだけでは。満足もできない。わたしはそれを使いたい。集めた単語とつながりをもちたい。単語がわたしの一部になってほしいと思う。

reference to this page: ジュンパ・ラヒリ『べつの言葉で』中嶋浩郎 訳 p.34-36より編集・作成。note: Jhumpa Lahiri(1967− )デビュー作は,  Interpreter of Maladies (1999). In Altre Parole (2015) published in English as In Other Words (2016)./Lahiri said : When I first started writing I was not conscious that my subject was the American-Indian experience. ( Newsweek, 3/5/2006 )

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