美女と野獣

投稿者: shidarapress

「美女と野獣」の発想を最初に考えたのは誰か。それはきっと女性ではないか。かつて荒俣宏が、吉本隆明との対談のなかで語っていたことである。彼が言うには、あの物語には、どうも母親の心境が感じられる。父親と母親の心境の決定的な差異は何かというと、父親はいやなものは排除できるが、母親は排除できない(しない)。自分で産んだものは面倒をみようとする。母性本能と通常呼ばれているものは結局それで、とにかく背負わされたものに対して面倒をみるという態度をとるというのである。

ここで示してみせた荒俣の推察は当たっている。「美女と野獣」の源流には、17世紀末から18世紀にかけて現れた2人の女流作家の存在がある。マダム・ヴィルヌーヴとマダム・ボーモンである。

だから男性にはなかなか「美女と野獣」のようなものが書けない。ラヴ・ロマンスが悲劇となって終わってしまう。歌舞伎を見てもそうだが、女性の作家はいない。歌舞伎の美は「心中か殺し」で終わるケースがとても多い。ここには、どうしようもないものを背負ったときの男の解決の仕方が、よく現れている。

note: 美女と野獣( La Belle et la Bête,  Beauty and the Beast )/ヴィルヌーヴ夫人(1685-1755):Madame de Villeneuve, Gabrielle-Suzanne Barbot de Villeneuve(Villeneuve version, 1740年)/ボーモン夫人(1711-1780):Madame de Beaumont, Jeanne-Marie Leprince de Beaumont( Beaumont version, 1756年 )/ジャン・コクトー(1889-1963):Jean Cocteau(film adaption, 1946年)

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