1926年のノーベル文学賞

投稿者: shidarapress

ビジネス論のなかで愛を語る領域に、フィランソロピーがある。これは《phil + anthropos》つまり人類愛を意味している。1926年、文化的アナキストと呼ばれたカール・クラウスは、ノミネイトされたもののノーベル文学賞を獲ることができず、愛を歌い上げたイタリアの詩人グラツィア・デレッダが受賞する。人間の欲望から、ひとつは愛が芽生え、もうひとつは経済が芽生えたとすると、両者は人間の欲望という大地から芽生えた雙葉である、ということができる。これに対応して、現代ビジネス論には、一方に人類愛を語るフィランソロピーの言葉があり、他方に、”show me the money”に結局は収斂される戦略論や新古典派経済学の言葉があって、いまや経済の子葉ばかりが極端に肥大化し、異様な奇形植物のようになっている。今後この両者を含み込む、母なる大地について語る詩人がビジネス界に必要とされるだろう。

◉ 1926年、カール・クラウスがノーベル文学賞にノミネイトされる。受賞者はイタリアの詩人グラツィア・デレッダ(Grazia Deledda, 1871-1936)だった。サルディニア島のヌオロ(Nuoro)に産まれる。島の人だった。大学図書館に行かなくとも、一般にも手に入りやすいものとしては、百年文庫77『青』のなかにグラツィア・デレッダの「コロンバ」が収録されている。アントニオと田舎娘コロンバの話。「 ぼくはもう誰とも結婚なんかしないよ 」。失恋し、傷心して帰郷したアントニオだったが、美しくひたむきなコロンバと出逢い、思いがけず愛の情熱を知る。郷土の自然と人間を写実的に描いて高い評価を得る。

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