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人生の否定的側面と肯定的側面の双方を、矛盾を恐れず、むしろ一見矛盾に見えるものを人生の豊かな多層性として描いていくのが、本小説『息子と恋人』の語りのストラテジーである。この小説には、人生のさまざまな悲しみと喜びが、異性愛ばかりでなく同性愛的なものも含んだ愛の根源的衝動が、そして、愛だけでなく、人生の戦いが描き込まれている。『息子と恋人』は、人生に当然のこととしてある悲劇にもかかわらず生きていく人間のたくましい姿が、滅びゆく人びとともに、多層的に描かれた作品と言うことができる。これは、20代後半の天才作家のみが書き得た、そこに人生のすべてがあるような豊かな小説だ。(D.H.ロレンス『息子と恋人』訳者あとがきより抜粋・編集)

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