E.Toddの認識枠組み

投稿者: shidarapress

ここでエマニュエル・トッドによる2通りの語り方を見てみよう。「イギリスにはつねに、ウィンストン・チャーチル、あるいはボリス・ジョンスンのような政治家が体制内にいます。紛れもないエスタブリッシュメントの一員ですが、エリート層の少数派として民衆側につく、そんな政治家です。ですがフランスにとって大いに問題なのは、エスタブリッシュメントのなかから、大衆の利益をあえて引き受けるエリート少数派が出てこないことです」

ここには、権力システム論の古典的な見方が示されている。社会を統治する少数のエリートと大衆という構図である。トッドは上下2分法によって社会をとらえている。他方、以下では3分法思考を働かせて、中産階級こそ歴史を動かす主体だと語っている:

「中産階級に比べれば、上層の貴族層も、下層の庶民層も、現代社会への影響という点でさほど重要ではありません。『1%の支配』という超富裕層と、それ以外との格差の問題はたしかに存在します。まったく不公正な格差です。しかし、このことを指摘したからといって、『西欧先進社会は閉塞状況に陥っているのに、なぜみずから方向を変えられないのか』という問題の説明にはならないのです。この問題を解くには、中産階級の分析が不可欠です。つまり、1%の超富裕層の存在を許し、庶民層の生活水準の低下を放置しているのは、中産階級だからです」

古典的な権力システム論では、社会的成層化(social stratification)という見方をするので、上下2分法、あるいは上層・中層・下層という分類法を採るが、トッドもそうした認識枠組みでヨーロッパ社会を眺めていることが示されている(民衆や大衆といった表現は原文訳のまま)。

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