先駆者だけが見える風景

投稿者: shidarapress

西欧の進んだ本を読むことは、日本国中の人にできないことだ。だが自分たちの仲間は、それができる。経済的な見返りが乏しくても、スラスラと進まないことがあっても、粗衣粗食で、一見みる影もないような慎ましい身分でありながら、知力や思想の面で活発高尚なことは、王侯貴族であれ眼下に見下すぐらいの気位で、ただただむずかしければ面白いし、しんどさのなかにこそ楽しみがあり、苦とはすなわち楽なんだ、という心境にさえ達していたと思う。92