福沢諭吉と京都(1)

投稿者: shidarapress

日本初の公共図書館設立までのプロセスを追うと、福沢諭吉の積極的な関与が明らかになる。福沢は10日間の京都滞在のうちに、京都府の槙村正直にたいして、社会教育の振興をうながした。それ以前にも、民間での図書館新設の動きがあったのだが、福沢はここにも関与している。大黒屋太郎左衛門(京都書籍会社)と村上勘兵衛(御用書林)らによる書集会社の創業の際に、「書集会社基本」という設立趣意書と規則書を書き与えている。

この自説について、著者は次のような断りをしている。

「私があえて大胆に『書集会社基本』福沢執筆説をとなえたことにたいして、所詮状況証拠をならべたにすぎず、決定的な根拠に欠けるとの批判があることは、十分承知している。(中略)大黒屋・村上両名が、福沢にことわることなく、彼の著作を換骨奪胎し、その文体をたくみにまねて、『書集会社基本』をまとめ上げただけのことなのかもしれない」(p.201)

 

多田建次『京都集書院』玉川大学出版部, 1998より編集・作成

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