1911年5月26日。アンリ・ベルクソン(H. Bergson)がオックスフォード大学で講演を実施した。残された記録に目を通す。
「芸術の役割は、われわれの感覚と意識に明確には捉えられないものを示すことにほかなりません。ずっと以前から私たちの内部では表象できるはずのものでありながら、見えないままになっていた感情と思考のニュアンス。それは、現像液につけて現像するまでは見えてこない、写真フィルムのイメージのようなものです。詩人とは、この現像液のことです。そして偉大な画家とは、すべてのひとの視覚像になるか、視覚像の起源であるような人のことです」